2019/06/01 23:41

6月の第3日曜は「父の日」!
お父さんへ感謝を込めて、特別な思いと物語が詰まったお酒を贈りませんか?

~酒とサカナのちょっと素敵な物語「月夜のゆりかご」 ~


今回、父の日のマザーレイクギフトとしてご紹介するのは、滋賀県ならではの物語がギュッと詰まった日本酒!
日本酒の原料といえば、もちろんお米。
まずは、そのこだわりのお米の物語からご紹介したいと思います。


ゴールデンウィーク明けの5月から6月にかけて、びわ湖の周辺に広がる田んぼでは田植えも終わり、まるで空を映す鏡のよう。一方にびわ湖、他方に田園風景を見渡せる湖岸道路からの風景は最高です♪

…そして、実はこの時期、これらの田んぼの水面の下でも、小さな生き物たちの命をめぐる壮大なドラマが繰り広げられていることを、皆さんはご存知でしょうか?

さっそく、滋賀県野洲市須原地区で農業を営む、「須原魚のゆりかご水田協議会」会長の堀彰男(ほりあやお)さんにお話をうかがいました。


夜の田んぼは、びわ湖の魚にとって恋の場所!?
「魚のゆりかご水田」って?

5月から6月頃にかけて、フナやナマズなどのびわ湖に棲む魚たちは、雨が降ってびわ湖の水位が上がった日の夜になると川をさかのぼり、排水路から田んぼに入って、そこで卵を産む習性があるそうです。
田んぼは水温が高く、餌のプランクトンが豊富で天敵も少ないことから、稚魚たちが安全にぬくぬく育つことができる、まさに「魚のゆりかご」なんですね。
そうして、田んぼで元気に育った魚たちは、また水路をたどってびわ湖へと巣立っていくのです。

はるか昔から、びわ湖の近くで暮らす人々は湖岸の田んぼで米をつくり、魚たちがその田んぼを利用して子孫を増やし、さらに人々がその魚を獲ってフナズシなどにして食べるという、共生のしくみが続けられていたわけです。

ところが…

農業の機械化・大規模化にともなって、水田の圃場整備が進み、排水路はコンクリートで覆われて、びわ湖からのぼってきた魚たちは田んぼに上がれなくなってしまいました
仕方なく湖岸の浅瀬で産まれた卵や稚魚が、天敵であるブラックバスやブルーギルに食べられてしまったり、びわ湖の水位が下がった時に干からびてしまったりしていることが、びわ湖の魚が激減した原因の一つではないか、と言われています。

そのことを知った堀さんたちは、コンクリートの排水路に階段状に堰板を設置して、びわ湖の魚たちが昔のように田んぼへ上がってこられるようにしました(これを「水田魚道」といいます)
フナやナマズはこの段差をジャンプしてさかのぼれますが、ブラックバスやブルーギルは上がってくることができません。

さらに、安全な田んぼで魚たちが元気に育ってくれるよう、農薬や化学肥料もできるだけ使わないようにしました
魚にとっての安心安全が、お米を食べる人間にとっての安心安全にもなるんですね!

…これが、団体名にもなっている「魚のゆりかご水田」、というわけです。


現地を案内してくださった堀さんが、堰板をのぼった先の水路の水を網でひとすくいすると、フナと思われるかわいい稚魚がたくさん
堀さんの田んぼで、元気に大きく育ってくれよ~♪


ちなみに、滋賀県では「魚のゆりかご水田プロジェクト」に取り組む地域が全部で28地区(平成30年度)あり、「魚の赤ちゃんが田んぼで繁殖している」「環境こだわり農産物である」などを満たしたお米には、「魚のゆりかご水田米」ブランド認証制度もあります。

このロゴマークが目印!



ゆりかご水田米から生まれたお酒「月夜のゆりかご」


お米にも魚にも目一杯の愛情を注ぐ「魚のゆりかご水田」での米づくり。
当然、通常の水田耕作より、手間も労力もかかります。
周辺の田んぼの持ち主の理解と協力も欠かせません。

そんな「魚のゆりかご水田」の取組を続けていくためには、つくったお米が、労力に見合う価格でしっかり売れ続けることが、どうしても必要です。経済のキホンですね。

そこで、堀さんは、農業のかたわら、全国、時には海外まで飛び回って、様々なイベントやフォーラムなどに出向いては、ゆりかご水田の取組をPRし続け、農林水産大臣賞などさまざまな賞も受賞してこられました。
ゆりかご水田をはじめとする農業文化の「世界農業遺産」認定をめざす滋賀県の取組とも連携しておられます。
そのパワーと行動力には、ほんとうに頭が下がります。


しかし、こうした取組をしていく中で、堀さんは「環境に関心のある人には知ってもらえるようになったが、より幅広い層の皆さんにも知ってもらえるようになりたい!」という思いが深まったそうです。

そこで、ファンの裾野を広げるため、2014年に誕生したのが、須原のゆりかご水田米からつくられたオリジナル地酒「月夜のゆりかご」です。
お酒の開発段階では、地元の若手の皆さんも積極的に参加してくれて、みんなで案を出しあい、最後はfacebookで投票して、「月夜のゆりかご」という名前が決まったそうです。

~ 月に照らされた夜の田んぼに、魚たちが次々とのぼってきて卵を産む様子を、畦道に立って眺めている。 ~

…そんな情景をイメージして命名されたそうです。


堀さんたちは、買ってくださる人と直接つながりたいと、発売から4年目の2018年に自ら酒販免許も取得
「ようやく、知名度の高まりを実感できるようになってきた」という言葉通り、誕生から5年目の今シーズン(2019年)、「月夜のゆりかご」(生)は売れ行きも順調で、やや品薄状態とのこと。

しかし、ここに至るまでには様々な苦難もあった、といいます。
そこで今度は、「月夜のゆりかご」の醸造元である、「喜楽長」の銘柄で有名な東近江市の老舗の酒蔵「喜多酒造」さんをお訪ねして、喜多良道(きたよしみち)社長からお話をうかがいました。


コシヒカリの特徴をつかみ、上品な味わいに


「滋賀の地で、地域の皆さんに支えられて酒づくりを続けてきた会社として、地域のお役に立てることは積極的に取り組んでいきたい」と話す喜多社長。
堀さんたちの熱い思いにほだされて、ゆりかご水田米から地酒をつくることになりました。

しかし…須原のゆりかご水田で作られているのは100%「コシヒカリ」
食用米の代表格として誰もが知っている品種ですが、酒米として使われることはほとんどありません

コシヒカリの性格をつかまえるのに、2~3年かかった、といいます。
その間、お客さんの反応を見ながら、使用する酵母を変えるなど、試行錯誤と工夫を重ね、徐々に洗練されていきました。

実は筆者も、「月夜のゆりかご」発売初年度に飲んだことがあるのですが、その時は、正直、ちょっと風味が若すぎる印象でした。
でも、去年久しぶりに買って飲んでみたら、驚くほど豊かな風味と奥深い味わいで、その劇的な変化に大感動したのを今もはっきり覚えています。


「"モノを売るよりコトを売れ"とよく言うけれど、どんなに素敵なコト(物語)があっても、結局、美味しくないと売れないし続かないんです。」
その言葉通り、味の追求に一切の妥協がない喜多酒造さん。
お値段以上のこだわりぶりに、飲めば納得です♪

さて、気になるお味の方は…口あたりはやわらかく、口に含むとほのかに上品な甘さに満たされ、それでいて、後口は適度な酸味が締めてスッキリと。
滋賀県民好みの風味に仕上がっていて、お父さんはもちろん、女性も含めてご家族で楽しめる1本ではないでしょうか。

「月夜のゆりかご」は、瓶のラベルも何度か変えたそうです。

こちらも、デザインが変わるごとに洗練されてきたことが、比べるとよく分かります。
現在の一番右のデザインは、とてもシンプルでカッコよく、高級感もあって、父の日ギフトにもぴったりですね。


キーワードは「ロマンとソロバン」。
愛知川のゆたかな水に感謝して、地域にもっと活力を!

喜多酒造さんが酒づくりに使っておられる水は、鈴鹿山系を水源とする「愛知川(えちがわ)」の伏流水
水質がとてもよく、量も豊富なことから、その水を求めて某有名飲料水メーカーや菓子メーカーなど多くの企業が工場を建てているほど。

現在、東近江市観光協会の会長もされている喜多社長は、「この水を使って商売させてもらっている恩返しのためにも、水を活かした地域貢献事業や、水源の森の保全活動なども考えていきたい」と、瞳を輝かせておられました。
まだまだ夢は膨らみそうですね♪

「月夜のゆりかご」の誕生より5年ほど前、全国で初めて「国の重要文化的景観」に選定された「近江八幡の水郷」を象徴する西の湖の小さな島で地元農家が酒米「滋賀渡船」を育て、その名の通り船で行き来してつくったお米だけで醸した地酒「權座(ごんざ)」を喜多酒造さんが手がけられました。
その時、地元の皆さんと一緒に取り組む際のキーワードが「ロマンとソロバン」でした。


「ロマン」がなければ面白くない。
一方で、「ソロバン」勘定もちゃんとできてないと続かない。
…そんなこんなで発売から10年経った「權座」のほうは、例年、新酒が出てもすぐ売り切れてしまう人気商品に!
(今シーズンも生酒はすでに完売ということで、残念ながら今回は「權座」を父の日用にはご紹介できませんでした)

西の湖の文化的景観をまもるお酒「權座」。

びわ湖の魚とフナズシ文化をまもるお酒「月夜のゆりかご」。

どちらも、少しでも多くの人たちにその取組を知ってもらうことで、家族や友人や恋人と美味しく飲みながら、その背景にぎっしり詰まった「物語」を酒の肴に盛り上がる
…そんな食卓がこれからも増えていくといいですね!


「月夜のゆりかご」 お値段と購入方法は?


                【写真】ココクール・マザーレイクセレクションより

純米吟醸酒「月夜のゆりかご」(生)

 【原材料】コシヒカリ(須原ゆりかご水田米)
 【精米歩合】60%
 【アルコール度数】18%
 【醸造元】喜多酒造株式会社 
 【価格】四合瓶(720ml)1,500円(税別)、 一升瓶(1800ml)3,000円(税別)
  ※火入れタイプは9月頃の発売になります。

純米吟醸酒「月夜のゆりかご」を購入できるお店(ネットから購入できるお店もあります)

 ・『ゆりかご酒販』  野洲市須原216  077-589-2701
 ・『ファーマーズマーケット おうみんち』  守山市洲本町2785  077-585-8318
 ・『中山酒店』  野洲市中主町西河原382  077-589-2018
 ・『酒のかなざわ』  草津市追分町8-16-14  077-562-0038
 ・『加藤酒店』  大津市木下町13-1  077-522-4546
 ・『小川酒店』  大津市浜大津2-1-31  077-524-2203
 ・『橋川酒食品店』  長浜市元浜町11-25  0749-62-1876
 ・『こいずみ酒店』  東近江市青葉町3-6  0748-23-2666
 ・『あおきや酒店』  守山市播磨田町1273-1  077-582-2522

 ※2019年の情報です。
 ※「完売です」と言われても、他のお店にはまだ在庫が残っているかも!?
   あきらめずにトライしてみてください。


最後に、堀さんからひと言。
「『お酒』が気に入ったら、次は、魚のゆりかご水田の『お米』も買ってくださいね!」
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〔取材・記事作成〕マザーレイクにありがとう実行委員会(
2019.5