2020/04/26 12:09


そして2018年の母の日。誰も経験のないことだったので、どんなギフトを制作すればよいか、いくつくらい売れるか、どこで売るのがよいか、いくらで仕入れたらよいか、どうやって発送すればよいかなど、あらゆることが手さぐりでした。

他にはないオリジナルなギフトを作ろうと考えて浮かんだキーワードが「循環」でした。例えば琵琶湖の水は、森に降った雨が木々や大地を潤し、地下に浸透し、地上に湧き上がって川となって注いだものです。琵琶湖に住む魚たちも、アユやビワマスのように川と琵琶湖を行き来して生活するもの、フナやナマズのように琵琶湖から田んぼに上がって産卵するものなどがいます。そのような水や生きものの循環が断ち切られてきたことが琵琶湖に起きる問題の原点にあるのではないか、であればそれを感じてもらえるギフトができないだろうか、と考えました。

母の日ギフトとして販売した商品がこちらです。湖魚とお米を組み合わせた「湖のいのちめぐるギフト」。菜種油と油を回収して作られた石けんを組み合わせた「菜の花めぐるギフト」。その他にも、水草堆肥を使ったハーブ栽培セットや、イケチョウガイにバラをあしらったフラワーボックス、琵琶湖の淡水真珠を使ったアクセサリーなどを考え、それぞれのギフトがどのように琵琶湖とつながっているのかが分かるPOPなどを作りました。


県庁で記者会見も行いました。とても面白がってくれた記者さんもいて、いくつかの新聞で割と大きな記事にもしてもらいました。


販売は、ネットショップの仕組みを使ったオンライン販売のほか、実物を見てもらうために、Flower produce ichicaさんの店舗の一部をお借りしたイオンモール草津や、数か月前にできたばかりの滋賀県のアンテナショップ「ここ滋賀」(東京都日本橋)で販売を行いました。
そして臨んだ母の日ギフトの販売。最初はGW期間中にイオンモール草津にて、私がまる2日接客販売を担当しました。


それがもう、びっくりするほど売れなくて(涙)。店舗で販売するという経験が生まれてこの方なかったので、お客さんとの接し方も分からず、商品の前に張り付いて逆にお客さんが近寄れない雰囲気を作っていたのだと思います。見かねた岩上さんが時々ヘルプしてお客さんを誘導してくれてようやく少し話ができましたが、それでも売れることはまれ。1日経ってほぼ売れず、泣きの投稿をFacebookにしたら、何人もの知り合いが2日目に様子を見に来て、また買ってくれました。その嬉しかったことと言ったらありません。

その後母の日までの1週間は、「ここ滋賀」で販売を行いました。さすがに1週間東京に張り付くわけにはいかないので、私は初日だけで、それ以降は東京の高尾山で環境保全活動を行うNGO「虔十の会」さんに販売をお願いしました。対応くださったのは接客にとても慣れた方でしたが、それでも売れるのは1日に数えるほど。父の日も同じように、「循環」を意識したギフトセットを作って「ここ滋賀」で販売しましたが、結果は同様でした。一方で、父の日に試みとして鮒ずしや県産材チップを使った入浴「材」の単品販売をしたところ、これは(ギフトというよりは自分用として)飛ぶように売れたので、アンテナショップで比較的高価なギフトセットを買う人は少ないということが後から分かりました。


オンライン販売の方も好調とはいかず、結局多くの在庫を抱えることとなり、初年度のチャレンジは売上という点では大きな課題を残すこととなりました。「よいものを作れば売れるだろう」という楽観は見事に打ち砕かれました

(佐藤祐一)