2020/04/27 11:01


反省するところ、考え直さなくてはならないところは数多ありましたが、その一つが「コンセプトの明確化」でした。要は、「何のためにこのプロジェクトをやっているのか?」という最も肝のところが、メンバー間でも共有されていなかったのです。

代表の藤田、私、そしてこの頃から関わってくれるようになった県の若手職員の桐畑の3人で何度も話し合いました。当初、代表の藤田は「コラボ商品を作る過程で事業者と市民団体のつながりを作ること」を重要視し、私は「環境に良いものが売れることで経済循環にもつながること」を重要視していました。これらはともに大事なことですが、「何のために?」と問われた時の返答にブレを生んでいたのかもしれません。議論の結果、最も大事なコンセプトとしては、藤田が提案した「びわ湖愛の総量を最大化する」という言葉に落ち着きました。

こうした検討を踏まえ、2年目の母の日は、生産者のこだわりをしっかりくみ取り、また伝えるために、ギフトセットの「軸」となる商品を決めました。ギフトとして花に次いで人気なのはスイーツなので、「ショップマドレ」のクッキーを扱うことにしました。油や米粉などの素材にまで至るそのこだわりを見せるため、動画も作りました。


他にも、ギフトセットの内容や販売方法、Webサイトでの見せ方などを大きく見直し、こちらの思いばかりが先行しないよう心がけました。入荷数を絞ったこともあり、準備した商品はほぼ完売することができましたが、購入者は実行委員会メンバーの知り合いばかりとなり、幅広い層にアプローチすることは残念ながらできませんでした。「ギフトを通じて琵琶湖を知ってもらう」はずが、「琵琶湖を知っている人がギフトを買う」という逆の結果となってしまったのです。

少し時期は戻りますが、この年の2月には、結婚式の引き出物を作るという新たなチャレンジも行いました。引き出物であれば準備期間も取れるし、数も多く見込めるし、オーダーメイドでよいものを参列者に届けられるだろうとの思いからでした。筆者の同僚が結婚するというので、琵琶湖への思いが詰まった引き出物を新郎新婦とともに作り上げることができましたが、こちらも初めての取り組みとあって失敗の連続で、多くの迷惑をかけることとなりました。


新たに取り組んではうまくいかずの連続で、またしても私たちはプロジェクトのあり方を再考することとなりました。

(佐藤祐一)